イギリスには若者のホームレスがとても多い。ヨークにいるホームレスのほとんどが若者である。そして、10代でシングルマザーになるケースもとても多い。街を歩いていると、とにかくまだとても若いのにベビーカーを押している女の子をを本当によく見かける。
その原因を一言で説明することはできないが、手厚い福祉政策がその要因の一つになっていることは否めない。いい仕事につけず、無理に低賃金のきつい仕事をしなくても生活保護で生活できるならそっちを選ぶ。また、イギリスではかなりの医療が無料で受けられ、出産にも金がかからない。シングルマザーにはそれなりの補助もある。
社会的弱者を守るために福祉は必要だし、それが手厚いなら、そのほうがいいに決まっている。しかし、それがこのような負の側面を生み出しているのもまた事実である。先日読んだ雑誌の投稿欄に、「我々が払っている高い税金が、シングルマザーの補助に使われるのは納得できない。好きで産んだのだから、自分の力で育てればいい。」というコメントもあった。
日本ではあまり聞かない「階級」という言葉をイギリスではよく聞く。パブも昔は上流階級と労働者階級の人たちでは飲む場所も分けられていた。今でもその名残で入り口が2手に分かれ、内装も2つに分かれているパブがある。4,5ヶ月前にはBBCでイギリスの貧困についてのドキュメンタリー番組がシリーズで放送されていた。自分の少ないイギリス滞在経験から言っても、イギリスには地域格差がかなりあると思う。「階級」と「貧困」。この2つがイギリスには歴然と存在する。
けっこう前になるが「Sweet Sixteen」という映画をTVで見た。スコットランドのグラスゴー、グリーノックが舞台のこの映画は、はげしいスコットランド訛りで話される。イギリスでも英語の字幕付きで放送されていた。刑期を終えて出てくる母親と、シングルマザーとして子供を育てる姉と一緒に生活することを夢見る15歳の少年が主人公だ。同情人物はそれぞれ厳しい過去を背負っており、それが具体的に語られることはないものの、彼らの感情がひしひしと痛いくらいに伝わってくる。母親を信じる少年と、厳しい現実。イギリスの影の社会に取り込まれていく少年の苦悩を描いたKen Loach監督の傑作である。必見の一本。
SWEET SIXTEEN

(2002年:U.K./Germany/Spain)
*第55回カンヌ国際映画祭脚本賞受賞
監督:Ken Loach
脚本:Paul Lavaty
出演:Martin Compston
posted by Apple at 20:30|
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